ども、ボヤキ親父です。

今日は、2016年の終わりに、消毒とか殺菌の記事を少し書きたいと思います。

毒性の強い気体

小学校や中学校の理科の授業で、「塩素という元素があって、元素記号は『C1である」と習った記憶がある人もいるのではないでしょうか。そして物質として塩素ガスは、臭いのきつい、黄緑色の、毒性の強い気体であることも覚えているかもしれません。

この「塩素」という言葉を、日常生活の中で目や耳にしたことはありませんか。たとえば、服についたしみなどを取るときの「漂白剤」や哺乳瓶などの「殺菌剤」です。これらには「塩素系」と書かれています。塩素系と書かれている漂白剤や殺菌剤の多くは、液体で「次亜塩素酸ナトリウム」という物質が使われています。塩素と水酸化ナトリウムを反応させて得られた物質で、通常は水溶液として使用されます。また水道水やプールの水は、「塩素消毒されている」とよく言いますが、この塩素消毒にも一般的に次亜塩素酸ナトリウムが用いられています。私たちにとってもっとも身近な塩素と言えば、この次亜塩素酸ナトリウムであると言っていいでしょう。

漂白効果・殺菌効果の源

次亜塩素酸ナトリウムには漂白効果や殺菌効果がありますが、これは強力な酸化力を利用したものです。簡単に言うと、水溶液中で酸素を放って対象物にアタックし、対象物を反応・分解して別の物質に変える作用です。漂白効果は、色素に酸素がアタックすることで、色素が酸化され、色を見えなくしてしまいます。この漂白効果は、PHが高いほうがより高くなります。殺菌効果は、菌の細胞内外のタンパク質や脂質などを酸化により破壊したり、損傷させたりすることで発揮されます。PHが中性付近でもっとも強くなり、哺乳瓶や野菜などの殺菌、ノロウイルスなどの感染予防対策にもよく用いられています。次亜塩素酸ナトリウムは、酸化力の強さから材質(金属や繊維など)に影響を及ぼすこともありますが、正しい使い方をすれば、私たちの生活に役立つ、非常に有用な物質なのです。

アルコールは飲むだけじゃない!

アルコールの様々な用途

みなさんは「アルコール」と言うと何を想像しますか?多くの人が、ビールや日本酒、ウィスキーなどのアルコール飲料を想像するのではないでしょうか。しかし、アルコールは、飲料としてだけでなく、燃料や食品への利用、殺菌・消毒剤や洗剤・化粧品などの配合原料など、多くの分野において、様々な用途で用いられています。その中でもここでは、殺菌・消毒剤への利用について解説しましょう。

アルコールは科学的に言うと、「炭化水素原子を水酸基に置き換えた物質の総称」です。むずかしい言い回しですが、要はアルコールとはひとつの物質を指すのではなく、この内容を満たす物質の分類を表しているのです。しかしながら日本では、一般的にアルコールと言うと、「エタノール」を指していることがほとんどです。アルコール飲料に含まれるアルコールもエタノールであり、殺菌・消毒剤に用いられているアルコールもほとんどエタノールです。

エタノールの特徴

このエタノールですが、殺菌・消毒剤に用いられていることからもわかるように、殺菌効果を有しています。とくに、高濃度(70〜80%程度)のエタノールは高い殺菌効果があります。エタノールは殺菌剤にもっとも強いとされる殺菌芽胞に対しては効果がないものの、その他の一般的な細菌や酵母、カビなどの真菌、あるいはエンベロープを持つインフルエンザウイルスのようなウイルスなど、幅広い微生物に対しては非常に有効です。

さらにこの殺菌作用については、スピードが速いことも大きな特徴のひとつです。またエタノールは、使用時に蒸発しやすく、すぐ乾いて薬剤が残留しないほか、飲料にも用いられているように毒性も低く、比較的皮膚に対する刺激性が少ないといった特徴もあります。このような特徴から、最近ではアルコールの殺菌・消毒剤への利用が広がり、食中毒や感染症対策において、エタノールは手指や器具などの殺菌・消毒剤として、なくてはならない存在となっています。

日本はアルコール王国

日本独自の技術

アルコールの殺菌・消毒剤としての利用は日本だけでなく、欧米など海外でも行なわれています。(欧米ではエタノールだけでなく「イソプロパノール」が用いられていることも多い)。

しかし日本では、欧米では用いられていない用途でアルコールが広く用いられている分野があることをご存じでしょうか。スーパーで買ってきた食品のパッケージ裏に書かれている配合成分表示をよく見てみてください。多くの食品に「酒精」と書かれていると思います。酒精とはエタノールのことです。なぜエタノールが食品に含まれているのかというと、腐らないようにするための「食品保存料」として添加されているのです。

この食品保存料としてのエタノールの利用は日本で開発され、日本だけで使用されている技術なのです。この技術は、低濃度のエタノールが静菌効果、つまり微生物の増殖を阻止する効果があることを利用したものです。この技術が開発されるまでは、安息香酸などの食品添加物が食品保存料として用いられていましたが、安全性の問題がありました。これを解決するためにヒトに有害でない食品添加物として、エタノールに白羽の矢が立ちました。1〜3%程度の低濃度アルコールで食品の保存効果を高めることが明らかになったのです。

あらゆる食品施設で使われるエタノール

その後、ただ単に加えるだけでよいという簡便さから、食品保存料としてのエタノールは急速に広まりました。さらにエタノールに有機酸やグリセリン脂肪酸エステルなどの食品添加物を加えると、その有効性が増すことがわかり、これらを配合した食品添加物アルコール製剤が販売されるようになりました。今やこの食品添加物アルコール製剤は、食品を取り扱うあらゆる施設において用いられており、保存料として食品に練り込んだり、まな板や包丁などの器具や容器の殺菌用に用いられています。このようにアルコールは様々な分野で使用され、日本では必要不可欠なものとなっています。「日本はアルコール王国」と言っても過言ではないかもしれません。