人の役に立つ菌〜排水の浄化に役立つ「菌」

人の役に立つ菌はたくさんあります。

私たちの身近な食品の製造に用いられている菌があります。醤油や味噌、日本酒などの発酵食品の製造には麹カビが利用されています。納豆には納豆菌が用いられ、この菌は学名でもバチラスナットウ(Bacillus matto)という名前がついています。

その他、乳酸菌はヨーグルトやチーズ、漬物やキムチなどを作るのに利用されており、酵母はパンやビール、ワインなどを作るのに用いられます。次に菌が有機物を分解するという作用を利用し、役に立っている例を紹介しましょう。「活性汚泥」というものをご存じでしょうか。

活性汚泥は、たくさんの酸素吸収をする菌が含まれた浮遊性の汚泥です。この活性汚泥に含まれる菌は有機物を分解するので、下水処理場、し尿処理場、あるいは各種工場における排水の浄化に利用され、非常に重要な役割を果たしています。また、この作用を利用してグリストラップ(下水道に油が流出するのを防ぐ装置)の洗浄剤として菌が用いられたりします。

環境に優しい洗剤成分

菌が人間の役に立っている例をもうひとつ紹介すると、バイオサーファクタントというものがあります。バイオサーファクタントは、菌が油など水とまざりにくいものを取り込む際に作り出す界面活性剤の一種です。

バイオサーファクタントは菌が作り出した天然成分であり、生分解性が高いため環境への影響もより少なく、近年、非常に注目されています。代表的なバイオサーファクタントとして、「ソホロリピッド」があります。

これは天然酵母が植物油と糖を栄養にして、発酵する際に生み出される成分です。「ソホロリピッド」は生分解性が高いのと同時に、強い洗浄力とすすぎ性を有しており、洗剤成分としてすでに実用化されています。

近年、環境に対する意識が世界的に高まってきており、今後、ソホロリピッドを代表としたバイオサーファクタントの利用は広がっていくのではないでしょうか。このように菌は多方面で人の役に立っています。ここで紹介した以外にもたくさん利用されています。何でもかんでも菌を殺せばいいということではないのです。