人獣共通感染症はなぜ増えたのか?

人獣共通感染症とは何か
「人獣共通感染症」とは読んで字のごとく、人間と獣(動物、鳥類、爬虫類なども含む)が感染する共通の感染症です。英語ではzoonosis(ズーノーシス)と表現します。これはギリシャ語のzoon(動物)とnosos(病気)に由来し、「動物からヒトにうつる病気」という意味で用いられています。

人獣共通感染症の病原体には、「細菌」や「真菌」「ウイルス」「原虫」、狂牛病あるいはクロイツフェルトヤコブ病の原因である、「プリオンタンパク質」も含まれます。この人獣共通感染症については、年々その感染のリスクが高まってきていると言われています。それは近年、環境破壊が進んだり、多くの種類の動物をペットとして飼うようになってきていることなどに起因しています。

つまり、これまで人間があまり接触したことのない動物と触れ合う機会が増えたのです。すると当然、動物が保有していて人間にも感染しうる病原体に触れる機会も増えることになります。さらに、その病原体がこれまで人間が感染したことのないものだった場合はどうでしょう。人間にはその病原体に対する免疫がなく、重篤な症状を起こす可能性があるほか、場合によっては人から人へ二次感染し、大流行を起こしてしまう危険性すらあるのです。

きわめて致死率の高い感染症

記憶に新しいところでは、2009年に起こったインフルエンザの大流行は、このケースに当てはまるのではないでしょうか。人間と鳥のインフルエンザウイルスに感染しうる豚の中でウイルス遺伝子がかけ合わさり、新しいタイプのウイルスが誕生しました。

これが豚から人間に感染し、さらには人間から人間に感染し、大流行が起こったのです。人獣共通感染症の中には、非常に危険性の高い感染症も多くあります。近年、ニュースでもよく報道されている、致死率の高いエボラ出血熱や、人獣共通感染症が注目されるきっかけになったと言われているマールブルク病などがその例です。

人獣共通感染症の原因病原体はどこに潜んでいるかわからず、これらの病原体の感染を予防することはきわめてむずかしい状態です。人獣共通感染症は本当に厄介な感染症と言えるでしょう。